PYROMANIA tour PLAY LIST 8.12 1. WHAT'S THAT MEAN? 2. CALL ME 3. ONE FOR ALL 4. A FIT 5. LIE-LIE-LIE 6. LOOP ON BLUE 7. PUNK FLOYD 8. BUT YOU SAID I'M USELESS 9. BURN OUT 10. CHAMPAGNE GOLD SUPERMARKET encore E1. PYROMANIA E2. NEW ROSE E3. MY WAY | PLAY LIST 8.13 1. WHAT'S THAT MEAN? 2. CALL ME 3. PYROMANIA 4. A FIT 5. LIE-LIE-LIE 6. ONE FOR ALL 7. LOOP ON BLUE 8. PUNK FLOYD 9. BUT YOU SAID I'M USELESS 10. ACROSS THE NIGHT 11. BURN OUT 12. CHAMPAGNE GOLD SUPERMARKET encore E1. SONG OF ETERNITY encore E2. NEW ROSE E3. MY WAY |
ビリビリと震える壁がグルーブを、バシバシ肌を叩いてくる空気が音圧を、揺れる床がJのスピリッツに惚れこんで集まった連中の突き動かされた振動を、オールスタンディングによる密集形態が周りの連中の熱を…ライブハウス、ウォホールがJのロックを歓迎し、共鳴し、ダイレクトに体の芯の部分に伝えてくる。確かに、ソロ活動を開始したJの音源を耳にしたとき、僕が想像した風景もライブハウスでのものだった。スリルに満ちた空気、立っているのもヤバイぐらいに叩きこまれる野太いグルーブ、そして、グッシャグシャになってのモッシュダンスで応える客席。そんな自分自身ではスゲエと思って描いていたイマジネーションも今やチープな想像力の生んだゴミ屑でしかなかった。現実世界での出来事が、想像世界の産物なんて足下にも及ばないほどのパワーを秘めていることをまざまざと見せつけられる。すさまじいまでの渦の中に、今、僕はいる。 暴風によって、ひっぱがされていく瓦のようにブチ飛ぶオーディエンスは、曲が「WHAT'S THAT MEAN?」からブロンディーのカバー「CALL ME」に変わり、スピードよりもヘビーで深いグルーブを聴かせ始めると、今度は大きく思い思いの方向に揺れ始める。そのために必要なのはただ一つ。音楽を体の芯で感じること。それさえできればどこまでもフリーだ。そんなことは当たり前の姿のようでいても日本のロック界隈じゃ、こんな光景を観られるのは残念ながらマレになってしまった。どのライブに行ってもどんな曲でも同じ踊りばかり。数カ月前インタビューに答えてくれたJの言葉に「俺達がやってきた表面的な部分しかクローズアップされなくなって、表面だけをマネして後からついてくる。いつのまにかそういうのがロックと言われて、違うものになってしまっている」というくだりがあった。皮肉なことにまさにこの症状は、Jの本体であるバンド、ルナシーがのし上がったときの余波が生んだロック界の深刻な病の1つ。しかしJの音を聴き分けて超レアな今夜のライブに集まった連中は、違いを分かっているというわけだ。鬼気迫る緊迫感が肉を切り裂く「A FIT」。暴力的なリズムが腹の中に詰まっているものをグッタグタにどつきたおす「LIE-LIE-LIE」。立て続けに浴びせかけられると、従順に体内にわき起こった衝動がすぐさま思い思いのノリで吐き出されていく。 その極みは「おとといからツアーが始まったわけだけど、俺なりにロックというのはこんなものじゃなかったっけな!?っていうのを突き詰めたいと思っている。そして、ここにいるみんなはそれが何なのか分かってくれていると思うから…」と、Jがツアーとファンに対する思いを語った直後の「PUNK FLOYD」だった。自ら「ブッ飛ぶぞ」と言わしめたこの未発表のインストナンバーは、超高速のリズムフレーズとぶっといグルーブを生むザックリとしたフレーズが交互に存在し、綺麗な響きへと展開していくという、歌詞がない分サウンドに表情がつけられた曲だが、観客は本能でこれを感じ、食らいつく。その姿を見ていると、彼ら一人ひとりからロックを感じずにはいられなかった。 もちろん、そんなオーディエンスの思いはステージにも届いている。「BUT YOU SAID I'M USELESS」を歌い終えたJが少しばかりのほほ笑みをたたえながら言う。「みんな生きているか?…大阪熱かったゾ」。この瞬間ここ大阪のファンは、この日初めてJが吐いた「今日はリターンマッチだからな」の一言、そしてその言葉の根っこにある前回のライブ『TOP SECRET GIG "Ignite"』の大阪クラブクアトロでJが投げかけた呪縛__客席にダイブしたJに押しつぶされたファンを、周りの子達が助けてあげなかったことに抗議のメッセージを残してライブは打ち切られた__から解き放たれ、そしてシーンを変えようとするJのパーツとして正式に組み込まれ、機能し始めたのだ。「まだ飛べるか?」の問いかけと「周りに倒れている奴がいれば助けてやれよ。仲間だからな」の念押しから入った本編最後の「CHAMPAGNE GOLD SUP-ERMARKET」。天井近くでむき出しになった鉄骨にJが飛び付き、鉄骨伝いにウォホールの上空を半周する。この日高く跳ねるオーディエンスの中には過剰にJに詰めかける姿もなく、これだけブッ飛んだライブが失心して運び出されるファンを1人も出さず幕を閉じようとしている。 その中にいて僕は足下が伝えてくる揺れを感じながら、まず、ここに集まった1000人弱分、シーンが真っ当なロックの方に数センチ動いたような気がしていた。そして、楽屋に引き上げたJに向かって、飛ぶアンコールの声と、今日の彼の誕生日を祝って合唱される「BIRTHDAY SONG」を聞き、明日のホールで見るJのライブについて思いを馳せている。 明けて13日。昨日のライブの終わりごろから思い描こうとしているJのホールライブのイメージは、昨夜のテンションが抜け切らないせいか、音源を聴いたときのイメージがこびり付いているせいかは分からないが、大阪厚生年金会館大ホールに向かう道にいても像を結べないでいた。しかし、会場に着き、まだ照明が消えたままのステージに目をやって納得させられる。客電の光を反射させてうっすらと姿を観せるステージには、PAが積み上げられているのみ。ここを何もかもが、とてつもなくデカいライブハウスだと思えばいいじゃないか。しかし、そんな僕の認識もすぐにくつがえされるのだが。 耳につんざくスコット・ギャレットがたたき出すドラムの音。抜けのいい彼のパワフルなドラム音は、広いホールの最後尾まで弱まることなく瞬時に届き、ステージまでの感覚的な距離をぐんぐん詰める。そして、ユニゾンで絡んでは極太のサウンドの柱を築き、時に個性を生かしたフレージングを紡ぐ2人のギタリスト藤田高志、フランツと、ひずんだ荒々しいベースとラフで力強いボーカルを披露するJのフロントマンが放つ強烈な存在感が、ステージの広さを拭い去る。そこにあるのは、昨日の同じ匂いをもった、まったくのライブハウスだった。強いて言えば、僕の足下にただじゃまなだけのイスがあること、「A FIT」で投射されたサイケデリックな模様が曲の持つ前衛的なイメージを広げたこと、あと、Jのパーツになるべくオーディエンスが2500人弱ほどに膨れたことだろうか。でも、そんなこともブッ飛んだ意識の中ではどうでも良くなっていた。 アンコール。とうていギタリストでは出せない図太いギターストロークをJが聴かせた「SONG OF ETERNITY」を挟んでラストは昨日と同じく、フランク・シナトラのカバー「MY WAY」。パンクバージョンでのこの曲にセックス・ピストルズのシド・ビシャスを思い起こした人も多いことと思うが、明らかにJなりの解釈での「MY WAY」は、どのような立場で活動をすることになっても、自身の道を、ファンと突き進むことの宣言だった。「俺なりにロックというのはこんなものじゃなかったっけな!?っていうのを突き詰めたいと思っている。そして、ここにいるみんなはそれが何なのか分かってくれていると思うから…」。Jの叫んだこの一言をもう一度、聞いたような気がした。 |
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