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まだXジャパンの解散に心を痛めている人も多いと思うが、そろそろ自分の中でXジャパンという存在を封印してみてはどうだろう? 別に無責任なことを言っているわけではない。現にPATAもHEATHもTOSHIもソロアーティストしてスタートしたわけだし、hideも”Spread Beaver(スプレッド・ビーバー)“と”Zilch(ジルチ)“という2つのバンドを 従えて精力的に動き出したからだ。 特に、ここで紹介するhide。先に述べた2つのバンドの展開だけでなく、彼が主催するレモネードのイベント『MIX LEMONed JELLY』の実施やコンピレーションアルバム『WooFer!!』をリリースするなど、その動向は見逃せない。 ●今までhideという名前でソロ活動をしてきたのに、今回から”hide with Spread Beaver“というバンド形態になったのはなぜですか。 hide:あんまり深い意味はないんですけども、とりあえずバンドを背負っている気分になりたいなと。Xというベースになるバンドがなくなったわけじゃないですか。だから一抹の寂しさを覚えるんじゃないかと思って。ツアーメンバーに僕の仕事をしてもらうときだけなんですけどね。彼らにはそれぞれパーマネントのバンドがあるわけだから、僕のプロジェクト自体を”Spread Beaver“というものにしようと思って。 ●やっぱりバンドに対する自分の思い入れみたいなのがある? hide:っていうか、バンド以外やったことないですからね。 ●バンド形態でやる方が落ち着く? hide:落ち着くし…例えばポリスだと、スティングがソロになってからは別に興味なかったし、そんな価値観がもともとバンドにあるから。 ●この”Spread Beaver“というバンド名には、どういう意味があるのですか。 hide:意味はね…バカバカしい名前が欲しくて付けたんですけど、”Spread Beaver“を訳すと、”Bea-ver“は女性器とか、女性のアンダーヘアという意味で、それをバーって開いた状態(笑)。御開帳された状態を指すんですけど。 ●いかがわしくていいですね(笑)。 hide:そう、そういう名前を探してて思いついた。 ●そのバンドのメンバーですが、ほとんどが2ndアルバム『PSYENCE』のときのツアーメンバーなんですけど、PATAさんに変わって、KAZさんが参加していますよね。このKAZさんが加入した経緯というのは? hide:一昨年かな? ”OBLIVION DUST(オブリヴィオン・ダスト)“っていう彼の所属しているバンドがあるんですけど、そのバンドが好きで音源とかもずいぶん昔から聴いてて、L.A.でも何回かライブを観に行ったりしているうちに「このギタリストは90年代のギターヒーローだな」と思って。立ち姿とかコード一発のインパクトとかが好きだったんで、ずっと「なんかやるとき手伝ってよ」って言ってて、今にいたったわけです。 ●そして、そんな”hide with Spread Beaver“の第1弾シングルとして「ROCKET DIVE」がリリースされましたが、やはりこのサウンドもそんなバンド形態をイメージして作られているのですか。 hide:いつも部屋でプリプロ(プリプロダクション)をやってるときも作り方はバンドと一緒ですね。だからドラマーがいない分、ドラマーにたたいてもらったのを家でコンピューターにたたき込んで、それを流して僕がベースのフレーズを弾いたり、ギター弾いたり、ボーカル入れたりして。だから、例えばエレクトリックっぽいのがあったとしても、やり方はバンド形式ですね。 ●そんなやり方をしているのは、自分に染み着いているのがバンドサウンドだから? hide:そうですね。 ●また、この「ROCKET DIVE」の歌詞がすごくポジティブなんですけど、そんな歌詞をhideさんに書かせた何かがあったのですか。やはりXジャパンの解散? hide:Xの解散記者会見っていうのはもちろんありますし、時期的にもちょうど詞を書いてるときがその解散会見のときだったんですよね。僕からしてみれば、メンバーが1人抜けるっていうことは、そのバンドはもう有り得ないっていう、バンドの人だったら普通に考えて分かるような単純な引き算っていうか、そういうのがあったし…僕が入る前からTOSHIがボーカルだったりしたしね。僕にとっても大変なことなんだけど、やっぱりメンバーそれぞれ人生があるわけで、その中で相まみ得られないっていう結論を持ってきて、バンドを続けられないっていう、よくある話なんですよね。結局、解散会見をしてですね、世の中的にマスコミのおもちゃにされたという事実があるわけですよ。もちろんX自体がそういうものを利用してきたから、そうなるのは分かってたことなんですけども、幸か不幸か自分がホームページを持ってるんで、eメール(電子メール)でのファンの声がダイレクトだったりするわけですよね。で、「どういうことだ!」みたいな感じになるわけじゃないですか。 ●そういった内容のeメールは届くでしょうね。 hide:うん。それはもう全然想像ついてたんですけどね。だけど、僕はそういうことに対してコメントするつもりもなかったんですよ。記者会見で言ったこと以上のことは何もないので。だけど話に尾ひれとかいろんなものが付き始めると、やっぱり言わざるを得ない状況が出てくるわけですよね。サポートしてくれたファンからしてみたら、「お前達がXだ!」って言ってたわりには、急に「じゃあ、さよなら」みたいな感じだったんだろうと思うし、自分もロックに依存してきた人間だったの で、そのファンの大切なものを急に取り上げられた感じの混乱は、痛いほどよく分かるわけですよ。でも、僕が考えるファンの子達にとっての”hide“っていうものは、「こっちだ、あっちだ」って言うんじゃなくて、ショーマンだと思ってた。あんまり面倒くさいことをいちいち言う感じのキャラじゃないとずっと思ってたんだけど、こればっかりは言わなきゃいけないんじゃないかな と。単純に自分もロックが好きで、ロックありきでこれでマンマ食ってんだっていう中で、勝手に思った責任感…責任感っていうとおこがましいかもしんないけど、自分がロックに助けられた分、そのぐらいのことはしなきゃいけないんじゃないかなっていう。そこでストレートに頑張れソングが書けるほど僕は真っすぐな人じゃなかったりするんですけどね(笑)。だから、自分が子供のころにイギリスのパンクバンドの対訳を読んで、「こんなんでも大丈夫なんだ」というような感じ? 「もっと開けるんじゃないかな?」的なことを教わった感じの歌を、自分のファンとか、聴くガキどもに書きたいなっていうのがメインだったんですよ。 ●サウンドもそんな歌詞がぴったり合う、疾走感っていうよりも爆走感あふれるサウンドですよね。 hide:いつもの作曲の方法っていうのが、このぐらいのシンプルなものを作っておいて、そこからぶっ壊すんですよ。『PSYENCE』ぐらいまでは、ぶっこわす作業の中でそのときの自分の中での旬だったりを注入したり、構築したりするっていうアレンジをしてたんだけど、この曲っていうのは『PSYENCE』のときにもれた楽曲なんですね。ストレートさが際立っちゃって、逆に異物を注入できなくて残ったんですけど、こういう詞のシチュエーションとか、自分の周りのシチュエーションとか、もう1つタイアップっていうのもあって、偶然にもクライアント側の「ポジティブな歌を下さい」っていうのと相まって、このアレンジが呼ばれたっていうのがあるんですよね。「このままでいいじゃん」っていうような。 ●こういう曲を歌ってるときの気持ちっていうのは、どういうものなんですか。ボーカルが前に出てきてる曲でもあるのですが。 hide:いつも歌ってるときは入りこんじゃうから、別にいつもと同じなんですけど、ミックスのときにはすごい楽器と戦わせましたよね。戦わせたっていうか、いつもだとボーカルを楽器の一部に考えたりするんだけど、この曲に関してはどっちかっていうと、詞のかつぜつだとかそっちの方を取りましたからね。 ●やはり歌詞がはっきりと伝わるように? hide:そうですね。 ●また、この曲ではベースもhideさんが弾いているので、ベーシストが弾くベースじゃなくて、ギタリストらしいベースになってますよね。 hide:結構ね、影響されてるベーシストってTAIJI(沢田大司:元X~D.T.R.)だったりするんですよね。あの人はもともとギタリストだったから、かゆいところに手が届くフレーズを弾いたりするんですよ。それにすごい影響されてるかな? 今はギターを弾くことよりもベースを弾くことの方が楽しかったりする。っていうか、もう『PSYENCE』ぐらいからずっとそっちの方が楽しかったりしてるんですけどね。 ●それはどういうところが? hide:対機械とやっていく中で一番表情を付けやすい楽器なんだなあって思いましたね。だからインストゥルメンタルでギターが言葉なら、ベースは表情なんだっていうのをすごい思います。それに自分にとって新鮮だっていうのもあるんですよね。 ●ギターをやり始めたころに戻ってるみたいな? hide:そうですね。例えばチョッパーとかの技術的な方にまでいかないから、どっちかっていうと「曲にこういう表情を付けたい、ああいう表情を付けたい」っていうことの方がおもしろくてやってますよね。だから、今、僕の作曲の中ではベースがリーダーだったりします。特に相手がコンピューターでループだったり、メカニックなものになればなるほど表情が付けやすかったりするからおもしろいですね。 ●このシングル「ROCKET DIVE」がX解散後のソロの1発目っていうことは、今後の方向性もこの曲が示しているということになるのですか。 hide:いや、それは全然。きっと予想がつかないと思うな。例えば曲のタイプで言うのならば全く分かんないし。ただ、この曲が示している方向性が何かって言えば、僕の中で最初にあったスピードとか、「飛んでいっちまえ!」っていうようなキーワードだけだったりする。決してジャンルとかではないし、ロックンロールをずっと続けるかというと別にそんなこともない。そういうところだけは僕はわがままでいたいから。プロである以上はユーザーとの公約数は取っとくし、ライブでのエンターテインメントとか、お金を払った分の供給とかっていうのは120パーセントにするつもりだけど、譲れないところは絶対に譲れない。 ●この「ROCKET DIVE」は”hide with Spread Bea-ver“名義のシングルとはいえ、バンドのメンバーとレコーディングをしているわけじゃないのですが、バンドのメンバーでの音源は、考えていないのですか。 hide:考えてます。「せ~の」みたいなのをね。それは年内に出せればいいなと思ってるんですけど。これから「ROCKET DIVE」を含むアルバムのレコーディングが始まるんですけども、それには全員参加。 ●前回のインタビューでツアーメンバーと一緒に音源を作らないのかという質問に対して、「絶対にまとまらないから、考えたくない」と言ってましたけど。 hide:そう。それはね、それぞれのメンバーにレスポンスを持たせて、1/7になっちゃったら無理だっていうことですね。だから、あくまでも僕が責任も何もかも持ってる上でのバンドということで。だって演奏してるときに余計なこと考えないでしょ? ステージの上に乗っかって演奏してるときに、「俺にはパーマネントなバンドがあるから…」とかって考えないし、楽器持って集まったらバンド以外に有り得ないじゃないですか。そういう人達を選んでるつもりだし。だから僕は”Spread Beaver“って、彼らに許諾を取る前に名付けてしまっ た。「君達は今日からSpread Beaver」って(笑)。 ●hideさんにはもう1つ”Zilch(ジルチ)“というバンドがありますが、こちらはどういったバンドなのですか。 hide:レコーディングはね、『PSYENCE』を作ってる前ぐらいからやってるバンドなんですけど…ある日本の人が突然やって来て、いろんなレコード並べて「hideさんこういうの好きでしょう? こういうのやんなきゃダメですよ」って。「別にやってるけどなあ」って言ってたんだけど、「この人とやってみません?」って紹介されたのが、”Zilch“のプロデューサーのレイ・マクベイっていう…スティーヴ・ジョーンズとポール・クックがセックス・ピストルズを辞めた後に、彼らと一緒にプロフェッショナルズっていうバンドをやってたヤツなんですよ。そいつに僕は「1曲聴いてみる?」って言って、「POSE」って曲を作って、そのテープを渡したらそこではやっちゃって。それは要するに僕が作曲に何となく自信を持ってたから、「これでどうだ!」っていう感じのこけおどしなんだけどね。で、気に入ってくれたから話は分かるなって。そこからいろんなヤツが集まってきて僕の1stアルバム『HIDE YOUR FACE』のころの曲とかをいじり始めたんですね。でも、僕は『PSYENCE』とかを作ってたんで、ちょっと忙しくてあんまり関われなかったんですけど、いろんな素材とかを渡したり、たまに時間のあるときに「ちょっと来てくれ」って呼ばれて、いきなり歌詞を渡されて歌ったりとかして。そうしているうちに、去年ぐらいかな? そろそろ時間が空いたからってアルバムを作ろうよって、何曲か書き下ろしてアルバムを作ってきたんですよね。ただ、まだ契約上の問題があって世の中には出してないんですけども、今年の8月ぐらいに出せるようなフルアルバムができてるんですよ。 ●あとは出すタイミングを待つだけっていう。 hide:そうですね。もうプロモーションビデオも2年前ぐらいに撮ってあって、1月1日からMTVだけで流れてるんですけどね。 ●アルバムが出るってことは、ライブは? hide:ライブも何本かやりますよ、東名阪ぐらいで。 ●なんかすごいですね。”Spread Beaver“のライブもあるでしょうし。 hide:そうですね。だから並行して…並行っていう か、時期的に重なる部分がすごい多くなると思います。一応差別化するならば、”Zilch“は全部英語ってことぐらいかな? 作曲は全部僕がやってるし。 ●やっぱり曲を作るときに”Spread Beaver“用とか ”Zilch“用とか分けたりしているんですか。 hide:基本的にはしないですね。Xのときもあんまなかったし、曲作るときは”今やりたいモノ“って作っちゃうから。 ●それをバンドに持って行くと、そのバンド色に変わる? hide:そう。だから、曲が出来上がってから、例えば「これXっぽいから使う?」って言って、Xにプレゼン(プレゼンテーション:提案)したり、自分にプレゼンしたりっていう感じですね。 ●今度は『WooFer!!』のことを聞きたいんですけど、こういうワールドワイドなコンピレーションアルバムを作ろうと思ったのはなぜなんですか。 hide:最初、レモネードの方からコンピレーションを作ってくれって言われたんですけど、『NOW』(最新ヒット曲を集めたオムニバスアルバム)みたいな。 ●「hideが選ぶヒット曲!」みたいな感じで(笑)? hide:そうそう(笑)。でもできなくて、次に「テクノがはやってるからテクノのコンピレーションを」っていう話が出てきて、いっぱい聴いたんだけどなんかピンと来るものがなくて、できなかったんですよ。で、『WooFer!! 01db』に入ってる”AMEN(エイメン)“と”SPACE AG-E PLAYBOYS(スペース・エイジ・プレイボーイズ)“っていうのが友達だったんで、彼らのテープ持ってて、そこから始まったんですよね。「じゃあ、パンクバンドにしよう」と。 |
hideto23 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()
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