俳優として活躍中の池内博之が初めてメガホンを取った『13の月』は、病に侵され余命が短いことを知った男の物語。主人公と同様、現在29歳の池内監督と、同じく現在29歳で、主人公のタスクを演じた柏原崇がインタビューに応えてくれた。

 「実は、僕、片思いをしていたんです。」と、突如自分の恋の話を始めた池内博之。「本当に長いあいだ片思いをしていて……、なかなか思いを伝えられない自分にすごく悶々(もんもん)としていたんです。そんな気持ちを表現したくて作品を作りました」と自身の片思いから生まれた物語であることを告白した。

 主演の柏原崇は、うれしそうに池内監督の様子を見ながら「赤裸々でしょう?(笑)。作る前に初めてお会いしたときも、今と同じように『実は、僕、片思いを……』って話し出したんだから(笑)。30代を目前にしても、いまだピュアでい続ける池内くんって本当にうらやましいです!」 と羨望(せんぼう)の眼差しを送った。

 俳優が初めて映画を監督するとき、キャスティングは役者仲間に頼むことがしばしばある。しかし、池内監督は会ったこともなかった柏原崇に主演をオファーした。「イメージというのは、とても失礼だとは思うんですが、主人公の透明なイメージにピッタリだったんです」と起用の理由を話しながらも、「本当にすみません。嫌ですよね、イメージとか言われるの」と柏原に謝る池内監督を見て、「ね! すっごいピュアでしょう?」と大爆笑の柏原は、「全然、いやだなんて思わないのに! もうこうやって、気を使い過ぎてるから逆にかわいそうに思ったときもありましたよ!」と、心配性の監督を楽しそうにからかった。

 「池内くんは、やっぱり役者ですよね。きっと今まで、監督に言われてすごく嫌な思いをしたセリフがあると思うんです。でも、自分が監督になってしまったら、それを言わざるをえない。例えば、今みたいに(笑)。だけど、彼がこんな風に丁寧に説明してくれて、とても気を使ってくれていたから、ちっとも嫌じゃなくて、本当に楽しく演じることができたんです」と監督としての池内を絶賛した。

 自分でも「おれは弱っちいんで……」と話すまじめな池内監督と、やわらかな印象とは裏腹に男らしい印象の柏原。キャラクターも正反対な2人だが、共通している部分もあった。それは“母”の存在だ。

 「映画の中に、母親が息子の病気を知って泣き崩れるシーンがあるんですが、観ているだけで本当にグッと来ました」と話す柏原は、「高校のころから、恋愛の相談ができるのはずーっとおかんだけ」という仲の良さ。好きな子ができたときも、付き合っているときも、すべてなんでも母親と話すそうだ。隣でうなずく池内監督も、やはり母と仲がいいと言う。リアルな悲しみで包まれるこのシーンは、親を思う気持ちが強い2人だからこそ作ることができたシーンだったのかもしれない。

 20代後半の男が、自分の余命が短いことを知り、避けていた実家へと戻る。そこで、もう一度知る愛の姿。それは、男の友情であり、大切な女性との恋であり、家族への愛……。完成した映画『13の月』を観て、池内は「やっぱり、主人公は自分自身の分身であるような気持ちになりました」と話した。30代を目前にし、等身大の自分が感じるやるせなさ、そして切なさを見事に 描いた本作。現場で役者をベストの状態に保ちながら作品を作った池内監督の力量、そして繊細な監督の心を常に感じ取りながら演じた柏原とのチームワークの良さを再確認させられたインタビューだった。

『13の月』は9月30日よりシネマート六本木にて公開。
『13の月』オフィシャルサイトhttp://www.cinemaparadise.co.jp/jusannotsuki/
(シネマトゥデイ) - 9月29日13時17分更新


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